打楽器の練習って水泳とか新体操みたいだな~ってイメージを勝手に持っていて、まず家で本番環境の練習ができない。できる環境に移動したとして、使える時間は限られているし、自分でコントロールできる要素が少ない。
なぜなら練習場にある楽器はみんなのもので、スネアのラグ外して洗浄したら音がすっきりしましたね、みたいなことをするのはちょっと難しかったりする。勝手に分解すんなよ、みたいな。私も部活でやってた頃は勝手にチューニングして、それはいいんだけどミスって鳴らなくなって怒られたりしていた。思い出すだけで恥ずかしい…先輩怖かったっす…でもチューニング自体はできる環境があればガンガンやった方がいいです。楽器ですから。経験して覚えましょう。ミスったら習って「なるほど」してください。それはともかくとして、今回は家で補助的な練習を行うことになる訳だから、そのためのメソッドの話。
自分の今持ってる課題に対する練習メニューは持っておいた方がいいんだけど、そもそもその課題を見つけること自体が練習、みたいなとこありますよね。どうやって見つけるかというと、今度やる曲をさらってみるか、優れているとされる練習曲や教則本に実際に取り組んでみる。これで良いとされる演奏に対して自分がどの部分を苦手としているか、ストロングポイントはどこなのか、といったことが分かる。しかも優れたエチュードは音楽的に楽しいことが多い。たくさんやるのが苦しくないことは、基礎に何時間もかける打楽器奏者にとって重要だし、音楽的に演奏することには練習でも取り組んでいきたい。
教則本で有名なところだとこの辺だろうか。部室にある本もあるだろう。
【スネア】
打楽器教則本 小太鼓・大太鼓編:今村征男/塚田靖 増補 (いわゆる「黄色い本」)
小太鼓100曲集:網代景介
Stick Control for the Snare Drummer:George Lawrence Stone
N.A.R.D Drum Solos:(Various Artists)
The All American Drummer:Charley Wilcoxon
Übungen für kleine Trommel:Richard Hochrainer
【ティンパニ】
Paukenschule:Heinrich Knauer
Etudes for Timpani Vol.1:Richard Hochrainer
どれも古今東西のメジャープレイヤーによる、優れた教本。演奏してみるだけで毎日発見がある。見つけたら、これでもか、というくらいさらってみるのをおすすめする。
さて、家で練習するって時に、持ち出せなくて買ったりする必要があると思うんだけど、ここでひとつ問題がある。
在庫が無い
仮に最寄りの楽器店に行ったとしよう。私は欲しい教本を外国語でメモって、楽譜コーナーでそのタイトルの表紙を探すわけだ。そんなに分厚くなくて背表紙など無いから、一冊ずつ手に取って確かめる。メモは独語だけど出版は英語なのかな~とか考えながら。しかし残念ながらニッチな分野なので、各々の在庫は少ない。探したけど、見つからない…。店員さんに聞いたら「絶版で入荷待ち」。せっかく楽器屋さんに行ったからスティックとか買って、その場を後にする。練習する楽譜は無い。そんな感じだ。実体験として、こういった教則本は需要が少ないのでその分部数が少なく、増刷までに時間がかかる。されないこともある。無いものは手に入らないのだ。
ではどうするか。この記事のタイトル回収になってしまうが、ネットで買いましょう。
まず、Amazon。海外のものは在庫があればここで定価で買える。クレジットカード払いにしてあれば、その時の為替レートで注文可能だ。始めはここを探そう。
見つからなければ、打楽器専門の業者に在庫がある可能性がある。教則本のタイトルをコピペしてググれば、ニッチな分野だからいくつか業者が出てくるだろう。
それでも見つからない。その場合は、入札額上がるからホントは言いたくないんだけど、オークションサイトを探す方法がある。ヤフオクとかメルカリ。ここで出物が見つかる可能性がある。ここまできて欲しい物がようやく見つかったなら、すぐに入札しよう。おそらく次の出会いは無いか、奇跡的に増刷されて新品が手に入るか。その時に自分が探していることは期待できないので、価格検討とかしないで即入札だ。高くなっても1,000円とか2,000円。早く手に入れてすぐに練習できるメリットを享受したい。
オークションサイトには色んな人がいて、ゴリゴリ書き込みしてあるジョリヴェの協奏曲なんかが見つかったりする。出品者はすごい地方に住んでたりして、ああ、ご引退ですか、これからも打楽器を愛してくださいね、なんて思ったりするんだけど、まあとにかく意外な出品がある。新品在庫が無ければここで見つける他ないし、なにより演奏者から演奏者へ、楽譜が手渡っていくことはなんかいいことのように思える。大事に楽譜を扱っている人も多いから、取引のやり取りは丁寧にするとこちらも気持ちがいい。
古くて人の目に触れない楽譜は増刷されず、先人の培った知見も消えていく。紙の楽譜が印刷されなくなる日も来るだろう。手に入るうちにそこに書かれている技術を手に入れておくことは、自分の音楽体験としてしっかり実になっていくんだと思う。
だから私は古い楽譜を探す。書いちゃったものの、できたら気づかれず、安く入札したいというのが本音だけど。