空飛ぶ指揮者

(2020/9/14)*1

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ダニエル・ハーディング

アルバン・ベルク
弦楽オーケストラのための《抒情組曲》から3つの楽章

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
交響曲第6番ヘ長調《田園》

 今回の指揮を執るダニエル・ハーディング。彼のもうひとつの顔は、なんと飛行機のパイロットなんだそうだ。

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多才というか、なんというか。
カラヤンもジェット機を所有していたと聞くけど、本当にパイロットになったというのはすごい。指揮者とパイロットの共通点を見つけるのは難しいが、どちらも責任感と自律心が大いに求められる仕事だと思う。片方をきちんとやるだけでも相当なことだ。演奏会あったら休めるんだろうか。
「機長を務めますのは私、ダニエル・ハーディングです」
「当機のフライトをゆっくりお愉しみください」
なんて演奏会で言われたら笑ってしまいそうだ。

この演奏会もおもしろい組み合わせとなったが、なにせ今年2020年はベートーヴェンの生誕250年となる「ベートーヴェンイヤー」。
これからも様々な組み合わせのプログラムを見ることになるだろう。

 

さて、肝心の演奏会。ベルクは弦楽合奏。今回は対抗配置で演奏された。これは《田園》の効果を狙ったものか。コントラバスは下手側で4本だった。

ベルクの作品は初めて聴いて、面白い作品だと感じた。12音技法や無調を使っているそうなんだけど、むしろ聴きやすかった。ハーディングの指揮は軽やかな印象。開幕演奏会のシェーンベルク《浄夜》ではオーケストラがフルパワーで演奏して凄い迫力だったのに対し、今回はコントロールの効いたアンサンブルが魅力的に映る。どちらもコントロールの上のことだろうけど、あくまで私の印象の話だ。

曲は謎に満ちた終わり方をし面白かったのだが、後から調べたら弦楽合奏版は全6楽章のうちの第2・第3・第4楽章の抜粋で、弦楽四重奏の原曲を作曲者本人が編曲したらしい。終わり方としては面白かったが、なぜ途中から抜いたのか。この曲は成立過程にも謎が多く、引用とか隠された主題があるんだそうだ。そもそも「抒情」ってなんだろうとか…気になるって言ったら気になるけど…音楽自体に満足したからいいや。

 

今のやり方として休憩は無し。短いカーテンコールがあって、すぐに後半へ。管打楽器の入場の際に小さく拍手があった。

 

《田園》もハーディングの軽やかな指揮が美しい。拍子に囚われない動きが自由で即興的な印象を与える。普段聴いているこの曲のテンポより、やや速めかな?超銀河系集団ベルリンフィルの演奏はそれがよく分からないくらい流れに乗ったものだった。

解像度の高く、くっきりした音楽だと感じた。いわゆるピリオドアプローチという訳でもなく、充実した響きには満足感があった。この曲は同時代の曲に比べてやや長い(5楽章あるし)ものの、やっぱりベルリンフィルすげーな、感動、って思ってたらあっという間に進んでいった。

ティンパニはベンジャミン・フォースター。この曲では4楽章しか出番が無いのでどうしても気になって待ってしまう。今回はフェルト径が大きく音色の豊かなマレットを選択、とてもマッチしていたと思う。この人トレモロの動きめっちゃ速いよね。あれはどうやっているんだろう。

最後まで端整な感じを保って終曲。とても満足感のある演奏だった。カーテンコールでフルートのパユがつつかれてた。超良かったからだろう。

 

<2020/09/21追記>

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