個人的事情からけっこう楽しみにしていた演奏会。同世代2人のベルリンフィルデビューだ。もっとも、歳が近いというだけで、2人ともキャリアの充実期にあたる演奏家。こちらが勝手にシンパシーを感じているだけなのだけれど。
どうでもいいが、サーバ設定を書き換えていたら時間がかかってしまい公開が遅れてしまった。
指揮者のラハフ・シャニとピアノのフランチェスコ・ピエモンテージがベルリン・フィルにデビューします。現在イスラエル・フィルの音楽監督を務めるシャニからメッセージが届きました!DCHでは、当日中継のほか、9月27日(日)日本時間20時から時間差で再配信します。https://t.co/g6vWTgFzSr pic.twitter.com/FJ5UEV6I3Q
— ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (@BerlinPhilJapan) 2020年9月26日
(2020/9/27)*1
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ラハフ・シャニ
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
ピアノ協奏曲第27番変ロ長調
フランチェスコ・ピエモンテージ(ピアノ)
ローベルト・シューマン
交響曲第1番変ロ長調《春》
指揮者のラハフ・シャニ。
ロッテルダム・フィルの他にもイスラエルフィルとの関係が続いていて、今まさに国際的評価が高まっている指揮者のひとりのようだ。前任はヤニック・ネゼ=セガン、ズービン・メータ。現在の音楽界を牽引する存在と言ってもよいだろう。重要なポストを引き継ぎ、ここでベルリンフィルデビュー。当然これからの活躍が期待される。
ピアニストのフランチェスコ・ピエモンテージ。
既に共演歴が凄い。デュトワ、ビエロフラーヴェク、スクロヴァチェフスキ、アシュケナージなんかは日本のファンにも親しみがあるところだろうか。こちらは満を持してのベルリンフィルデビューといったところだろう。
今期のベルリンフィルのプログラムには、いつも何かしらワクワクする要素がある。今回のプログラムは演奏機会の多い作品だが、指揮者とソリストはどちらもデビュー戦という興味を惹く演奏会となった。曲はどうやって決めているのか謎だが、どこかで工夫を凝らしてくれているに違いない。
演奏会。コンサートマスターは樫本大進。今期初ではないだろうか。
今シーズンの一部曲目変更などの発表はあったが、今回の編成は今までと同様に距離を保った形だった。
協奏曲ではピアノの音の粒立ちが際立っていた。ひとつひとつの音を端整に鳴らしていて、古楽のピアノフォルテのような透明感はありつつ、ロマンティックな演奏だ。
ソリストのピエモンテージは曲に没入していて、まるでひとりで弾いてるかのよう。これは指揮者シャニの手腕ということもあるだろう。何かが突出することのない、かつオケ全体が機能する演奏だった。
協奏曲の後アンコールが演奏された。シャニも舞台上に留まり演奏に聴き入っていた。これはありそうでなかなか見ることのないシチュエーションだと思う。
シューマンの交響曲第1番。ホルン3・4番が最後列、ティンパニの横に配置されていて珍しい形。
シャニは暗譜による指揮で、躊躇ない鋭どい動きに清新な感じを受ける。全体的に速く、すっきりした音楽で好感が持てた。
ティンパニはヴィーラント・ヴェルツェルだ。ハンマー型のマレット2組、おそらくセーム皮とフランネルを使った攻めまくる演奏だ。今回はたまに笑顔を覗かせていた。楽しかったのだろう。
2曲とも言葉にするのが難しい曲で、あっさりした感想になってしまったが、何か勢いのある演奏会だったのは間違いない。もっと多くの機会で聴いていきたい2人のデビュー、まずは成功と言えそうだ。
<2020/10/02追記>
アーカイブ入り!
*1:デジタル・コンサートホールには一部有料のコンテンツが含まれます。視聴方法については公式HPをご確認ください。http://www.digitalconcerthall.com