ベルリンフィル団員による金管と打楽器のアンサンブル

今回の配信は金管楽器と打楽器によるアンサンブル。
前回のショスタコーヴィチと同様、急遽プログラムに入ってきた演奏だ。

 (2020/11/23)*1
ベルリン・フィルの金管楽器奏者と打楽器奏者たち
トーマス・グッガイス

 

アーロン・コープランド
《市民のためのファンファーレ》

 ジョーン・タワー
《非凡な女のためのファンファーレ》

 周文中
《ビクシュニーの独白》

アンドレ・ジョリヴェ
フルートと打楽器のための協奏的組曲 エマニュエル・パユ(フルート)

モデスト・ムソルグスキー
《展覧会の絵》(エルガー・ハワースによる編曲版)

 


金管アンサンブルということもあってか、英語圏に由来する作品が集められた。
コープランドはアメリカにおける古典と呼ばれている。
ジョーン・タワーもアメリカ作曲家であるし、周文中、ジョリヴェはアメリカに帰化したヴァレーズに学んでいる。
ムソルグスキー、どう考えてもロシア人だが、編曲者はイギリスを中心に活動する音楽家だ。

親しみやすい2つのファンファーレと《展覧会の絵》の間に、珍しい作品が挿まれた形。かつ、英語圏に由来しつつも、世界各国の音楽が楽しめる内容となっている。このようなプログラムは聴いていて楽しい選曲だと思う。

 

ジョリヴェ。打楽器を演奏する私にとっては大きな存在だ。

演奏したことはないけど、打楽器による協奏曲などの重要な作品を遺した作曲家。このように聴けるのはありがたい。

 

指揮を務めるのはトーマス・グッガイス。
聞きなれない名前だが、なんと20代にしてシュトゥットガルト国立歌劇場の楽長に任命された超若手だ。
ドイツ圏を中心に活躍しているらしい。今後有名になっていくのだろう。

 

www.staatsoper-stuttgart.de

 

開演。無観客なので客席は暗い。

メンバーは普段と違い、黒いシャツにノータイのカジュアルなスタイル。

《市民のためのファンファーレ》と《非凡な女のためのファンファーレ》は続けて演奏された。起立しての演奏だ。

《非凡な女のためのファンファーレ》はウッドブロックなどを使った珍しいファンファーレ。打楽器が大活躍するので楽しい。ティンパニはヴィーラント。凄いテクニックだな。

 

《ビクシュニーの独白》は舞台の外で、ミュートしたトランペットの独奏があり、これが独白か。舞台上ではトランペットを除いた金管と打楽器のアンサンブルが行われる。

ありそうでなかった形の編成である。余白に味わいのある作品だった。

 

フルートと打楽器のための協奏的組曲。タイトルからは誤解をしそうだが、フルートと打楽器「だけ」の曲だ。

内容的には流動的で、東洋的な印象を与える音楽である。

打楽器奏者は4名で、各々マルチパーカッションを担当。これは演奏する人にとってはノウハウの宝庫なんではないだろうか。

フルートのパユも、特殊な奏法を駆使して様々な音色を使う。2曲目ではアルトフルートに持ち替えという珍しい姿を見ることができる。

全4曲からなるこの組曲だが、最後のパユの動きが必殺技みたいでカッコいい。興味があれば最後まで聴いてみることを勧める。

 

《展覧会の絵》は、原曲通りの構成で、金管アンサンブル用の編曲だ。

音域が非常に広い。もちろん完全に吹いている訳だが、こんなことができるオーケストラも珍しいのではないか。

金管楽器のみなので、響きが柔らかく優しい音色が基調になっている。《展覧会の絵》は作品の性質から変化が多い音楽だ。たまに硬質な音を駆使した、表現の豊かな演奏だった。満足感。

 

アンサンブルという形態ではあったものの、指揮のグッガイス、難解なスコアの数々を違和感なく演奏できてしまうのは、相当な能力だと思う。丁寧で外連の無い動きにも好感が持てた。

 

音楽とは関係のない部分だけど、急遽組まれたプログラムで、この選曲があって譜面があって、更にあの大量の楽器を手配する。どのような仕組みで行われているのだろうか。

ちょっと内部が気になった、面白いアンサンブルだった。

 

<2020/11/26追記>

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