バレンボイム指揮、パユによるフルート協奏曲と幻想交響曲

当初の発表通りであれば、今回で無観客演奏会は最後になる。
ソリストは先週に続きパユ。この方はかえって忙しくなったのではないだろうか。

 (2020/11/29)*1
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ダニエル・バレンボイム
エマニュエル・パユ

ジャック・イベール
フルート協奏曲
エマニュエル・パユ(フルート)

フェルッチョ・ブゾーニ
フルートと管弦楽のためのディヴェルティメント変ロ長調
エマニュエル・パユ(フルート)

エクトル・ベルリオーズ
幻想交響曲

 

今期2回目の登場になる、巨匠バレンボイム。
「幻想交響曲」は当初からプログラムにあったものの、フィルハーモニーの閉鎖で開催が二転三転した様子が伺える。一度は中止になっていたと思う。
「わが祖国」に続き重量級の選曲だ。実現してくれたことはありがたい。

前半はフルートのソロが楽しめる2曲。
イベールとブゾーニ、どちらも詳しくない作曲家ではあるが、フルートを楽しむ形で親しめると思う。

 

演奏前のインタビュー、答えるのはソリストのパユだ。

私の勝手な印象だと寡黙な人なのかと思っていたが、けっこう饒舌な面が垣間見えて興味深い。英訳されたらもう一回見てみよう。

 

無観客演奏会らしく、いきなり演奏は始まった。

イベールの協奏曲は初っ端からソロがリードする形の曲だった。

激しいリズムと色彩がノリの良い1楽章。

ゆったりと中音域の魅力を楽しめる2楽章では、コンサートマスターとのデュエットも。

3楽章では複雑なリズムの中、転がるようなフルートが技巧的なソロを演奏、華麗に曲を締めくくった。

 

ポピュラーで楽しい曲だが、演奏機会が少ないのはソロが難しすぎるからだろう。

曲が終わるとオーケストラ内から拍手が。なんだか微笑ましい光景だ。

 

次の作品、ブゾーニはオーケストラから始まり、ソロが登場するタイプだ。

イベールの複雑な色彩に対し、ブゾーニはいかにもドイツ的といった響きで、なかなか面白い。

親しみやすい部分と幽玄な部分が交錯する、さっぱりとした魅力のある小品だ。演奏時間は約10分といったところか。

パユが期待通りにフルート音楽を堪能させてくれた訳なんですが、この2曲を吹いちゃえて暗譜(!)というのは、、人間、ここまで出来るんだと感嘆しますね。すげーな

 

もう一度インタビューを挿み、今度はベルリオーズ「幻想交響曲」のスコアより、各楽章の前書きを読んでくれるパユ。親切すぎる。しかも表現力が高い。

この曲のストーリーはオーケストラやってる人なら大体知ってるであろう、バイオレンスで猟奇的で、阿片とか使ってる何でクラシック音楽でこうなっちゃうのっていう内容なんだけど、この音楽にとっては重要な要素だ。通常プログラムに記載するのだろうけど、今回は外すことができない要素として、このような形を取ったのだろう。

 

もう一度暗闇からはじまり、幻想交響曲。

オーケストラの配置に度肝を抜かれる。指揮者の後に、ハープが4台並んでおる…

推測だが、オーケストラと「向かい合わせる」意図でそうしたんではなかろうか。お客さんいないし、見栄えの問題は無い。演奏者に対する影響を狙ったというのは、考え過ぎか。

打楽器は標準的だが、ティンパニ2組に大太鼓2台。全体としてかなり奇抜な舞台である。実にこの曲らしい。

 

バレンボイムはキビキビした筋肉質な音楽づくりだ。この曲って華やかで甘美さを強調する演奏もあるけど、どちらかというと動機を際立たせる構築的な演奏。

「わが祖国」の時と同じく、この巨匠はベルリンフィルの能力を引き出すことに長けているという印象がある。オーケストラの力なのか指揮者の力か分からないが、何かの化学反応が起きているという風に私は思う。

 

5楽章の鐘は2階客席で特大のカリヨンを鳴らしていて、無観客で暗い客席と相まって物凄く不気味な効果があった。

無観客で「幻想交響曲」を演奏するということ自体が、なんかの儀式のように見えなくもない。ある意味で効果的な選曲になったと考えることもできるだろう。

 

予定通りなら、来週からは観客が戻る。やはり終演後には拍手が聞きたいものだ。

 

<2020/12/05追記>

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