再登場、ネルソンス指揮の《運命》とリストのピアノ協奏曲第2番

前回が《運命》だと思っていたのだが《巨人》で、今回が《運命》だった。
指揮はまたもネルソンス。ド直球のプログラムだ。

 (2020/12/20)*1
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
アンドリス・ネルソンス
チョ・ソンジン

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
《コリオラン》序曲

フランツ・リスト
ピアノ協奏曲第2番イ長調
チョ・ソンジン(ピアノ)

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
交響曲第5番ハ短調《運命》

 

 

リストのピアノ協奏曲第2番、聴いたことはないが、リストの協奏曲らしく短い作品のようだ。
フランツ・リストという人は、サリエリに師事しベートーヴェンにも会っているような時代の人なんだけど、技巧的な作品のせいか若い印象がある。
前期ロマン派はリストの時代、後期ロマン派はワーグナーの時代。
私はざっくりとそういう風に捉えているが、ワーグナーの時代にリストがいなかった訳ではなかった。意外とけっこう長く活躍した人なんである。

 

ソリストはチョ・ソンジン。韓国出身の若者だ。

 

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すごいキャリアのプロフィールを見ていると、本当は今年もっと活躍できた人なんだなあと思う。
無観客ではあるが、この演奏会がよい契機になってくれると嬉しい。

 

演奏会は、休憩の代わりにフィルハーモニー閉鎖に関するコメントを挿んで行われた。

<クローズアップ・ベートーヴェン>の映像が入るなど、今のベルリンフィルの取り組みが紹介される。

 

前半のハイライトとなるリストの協奏曲。

魅力的なフレーズが多く出てくるのだが、多くの部分に分かれている作品であるがために、少し散漫な印象を感じてしまった。

チョ・ソンジンは明快で卓越したテクニックを持っていて、高い集中力で音楽をまとめ上げていたので、作品としての統一感が保たれたような感じだ。

作品に関しての私見はともかくとして、ソリストありきの協奏曲において、素晴らしい演奏を聴かせてくれたことは間違いないだろう。

 

後半の《運命》、意外にもネルソンスはベルリンフィルでベートーヴェンを演奏するのは初めてだそうだ。

始まり方に最大の特徴を持つこの作品だが、ネルソンスらしく精力的な演奏で始まった。身振りの方は印象に反して小さい。

気のせいかもしれないけど、ネルソンスとベルリンフィルの音楽は、音の重ね方に独特の味わいがあるように感じる。何というか、楽器が重なると色合いが変わるのだ。

どの演奏家でも結果としてそのような効果は生まれるが、かなり明確に感じる。同じ「フォルテ」となっている箇所でも、楽器が重なることで響きが増すので、より色彩的に聴こえる。

指揮からはそのような具体的な指示が読み取れないので、リハーサルで工夫をしているのか、自然とそうなっているのか、分からない。どちらにせよ、私にはこの指揮者が独特のサウンドを獲得していることが興味深い。

結果として第4楽章などはだいぶ見通しの良い音楽になっている。新しい印象も加えつつ王道をしっかり抑えた、強烈な演奏だった。

 

2020年内の配信は、予定されているものではジルべスターのみ。日本での配信は年明けになるから、実質今回の配信が今年最後になるだろう。

 

(2020/12/30追記)

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