2021年最初のこの回は、当初、ラフマニノフのオペラ《フランチェスカ・ダ・リミニ》の演奏会形式だった。
時節柄やっぱり無理か、という思いでいるが、この変更はなかなか大胆だと感じた。
題材は同じだが形態は全然違う。おもしろい。
(2021/01/17)*1
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
キリル・ペトレンコ
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
幻想序曲《ロメオとジュリエット》
セルゲイ・ラフマニノフ
交響詩《死の島》
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
幻想曲《フランチェスカ・ダ・リミニ》
2021年最初の演奏会でペトレンコが指揮するのは、チャイコフスキーとラフマニノフの3作品。デジタル・コンサートホールでは、1月17日(日)日本時間20時から時間差で再配信します。イングリッシュホルン奏者、ドミニク・ヴォレンヴェーバーからのメッセージをご覧ください!https://t.co/OjcTsN85Xn pic.twitter.com/0Or9FLrCiG
— ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (@BerlinPhilJapan) 2021年1月16日
「フランチェスカ・ダ・リミニ」という女性はダンテの『神曲』に描かれた女性で、権力のある家同士の争いにおける悲恋物語のタイトルなのだそうだ。《ロメオとジュリエット》との組み合わせは題材によるものだろう。
結果的に両方チャイコフスキーになってしまったが、間にラフマニノフを挿んでいる。
《死の島》は作曲当時に流行った絵画のテーマで、なんだかひたすら暗い色彩だった…ような気がする。そういうインスピレーションを形にした音楽だろう。
《死の島》は、あまり登場しないが打楽器で演奏したことがある。まだ学生で、あまり時間も無い中引き受けたので、きちんと印象に残らないまま演奏してしまった。この機会に魅力が見つけられれば、と思う。
いつの間にか延長されていたベルリンフィルハーモニーの閉鎖により、今回も無観客演奏会だ。
で、タイトルにも入れたんだけど、1/17時点で生の配信を聴くことができませんでした。。褒められたことではないが予定が入ってしまった。
よかった!という評判をちょいちょい目にするのでアーカイブを楽しみにしている。
早く聴きたい。。
(2021/01/22追記)
アーカイブ入り!
ようやく聴くことができた。待とうと思ったら長く感じるものだ。
《ロメオとジュリエット》では、相変わらず密度の高い演奏を聴かせるペトレンコ。
テンポは比較的速く、スピード感と緊張感が味わえる。
ティンパニはヴィーラント・ヴェルツェルで、彼の美麗テクニックがよく見られるので打楽器奏者は必見といった感じだ。
《死の島》はタイトル通り、暗い響きがバッチリ味わえる。
長い旋律などチャイコフスキーと似た部分のあるラフマニノフだが、暗く幽玄なイメージに特色がよく出ているように思う。
演奏14分~16分くらいの激しい音楽はかなり劇的な印象があった。タイトルに引っ張られる雰囲気を予想して、半分くらいはそれも合っている曲ではあるが、単独の音楽として聴くとさらに味わいが深そうな作品である。
最後の《フランチェスカ・ダ・リミニ》は内容に示唆される通り、混乱が支配する音楽で始まる。オーケストレーションは豪華絢爛、まさにチャイコフスキーという感じだ。
曲として少し単調に思った部分もあったが、さすがに音楽的能力最高峰のベルリンフィル、聴いていて中だるみするようなことはなかった。
中間部は甘い旋律が魅惑的だ。どちらかというとオペラのような、不定形な旋律。
最後は冒頭の感じに戻って、一気呵成に終結する。最後はもの凄い迫力であった。
長めの交響詩的な作品を3曲、休憩の無い演奏会だとこのような形が満足度高いのかもしれない。今回も充実した良い演奏会だった。
*1:デジタル・コンサートホールには一部有料のコンテンツが含まれます。視聴方法については公式HPをご確認ください。http://www.digitalconcerthall.com