ペトレンコ指揮、ストラヴィンスキーの『エディプス王』とクルト・ヴァイルの交響曲

欧州の情勢は相変わらず厳しく、ベルリンフィルハーモニーも閉鎖されたまま。
今回の配信から「オンライン・フェスティバル」と題し、複数の演奏会が配信前提で行われる。

 (2021/02/14)*1
オンライン・フェスティバル:黄金の20年代

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
キリル・ペトレンコ

クルト・ヴァイル
1楽章の交響曲

イゴール・ストラヴィンスキー
《エディプス王》

 

今シーズンのプログラムに入っていて期待したものの、出演者も多く実現には至らなかった、オペラの演奏会形式上演がついに配信される。よかった…という気持ちが先に立つ。よかった。
《エディプス王》は作曲者に「オペラ=オラトリオ」と呼ばれ、2幕、約50分の短い作品だが、それでも声楽も入って管弦楽作品としては大きなものだろう。
さすがに聴いたことはなく、楽しみな公演だ。

 

声楽の入る作品は、演奏機会を奪われてしまっている。日本ではオペラの演奏機会が少なく、チケットも高額だ。そのため交響曲偏重な傾向があるという。

ヨーロッパ、特にドイツでは歌劇場の公演が常にあって、クラシック音楽界における比重が大きい。演奏家によっては、オペラと交響曲は「車輪の両輪」だと捉える人もいるくらいだ。

なので、声楽作品はなるべく聴く機会を作りたいと考えている。

 

クルト・ヴァイルに至っては、この作曲家だと認識して聴いた作品がまだ無い。
知らない作曲家だと言ってしまっていいだろう。

先んじて公開されたプレイリストにいくつかの作品が取り上げられている。

 

www.digitalconcerthall.com

 

「黄金の20年代」というテーマはなかなか興味深くて、100年前にはなるのだけれど、この時代は音楽史的には「近代」になる、評価の定まっていない時期だ。
多くの作品が生み出されたものの、それぞれが個性的に過ぎ、定期的に演奏される作品はまだ多くない。これを「黄金の」と言い切ってしまって、名作の宝庫であると紹介してくれるのは非常に楽しみなことである。

 

まずはクルト・ヴァイルの交響曲。これは第1番にあたるらしい。

マーラーの後期を思わせるような響きで、より不定形な流れの音楽。これといった旋律を聴き取ることは難しく、印象の定まらない作品であった。迫力はかなりあったので、実演に接するとまた違った感想を持つのかもしれない。クルト・ヴァイルの作品は今後も演奏されるようなので、もう少し親しんでみたいと思う。 

 

ストラヴィンスキーの《エディプス王》は、男声合唱をP席に配し間隔を広く取った感染対策型の配置に、語りとソリストという編成。「オペラ=オラトリオ」の名づけは適当なように感じる。状況説明とモノローグが続き、事が動かない感じだ。

この作品は、金管や打楽器の鋭い響き、ストラヴィンスキーの特徴である激しいリズムがアクセントとなって、刺激的だが聴きやすい音楽だ。

素直に良作だと思う。逆に、他の作品にあるような混乱させる要素があまり無く、そのことがこの作品の演奏機会を増やさないのかもしれない。「春の祭典」の初演のような、エポックメイキングで分かりやすい事件性が無いのだろう。

割と晦渋なテーマでもある。歌劇場に足を運んで《エディプス王》聴きにいきたい、という向きもなかなかなさそうだ。芸術音楽の難しいところである。このように時代とともに取り上げる形が合っているのかもしれない。

 

「黄金の20年代」は、あと何回かの配信を予定しているらしい。今回が初回である。

先にも書いたが、難解な作品の多い爛熟期をテーマにしたこの特集、いくつか親しめる作品を見つけられるといいな、と思っている。

 

(2021/02/21追記)

アーカイブ入り!

www.digitalconcerthall.com

*1:デジタル・コンサートホールには一部有料のコンテンツが含まれます。視聴方法については公式HPをご確認ください。http://www.digitalconcerthall.com