ぽんぽこ日記

演奏会とか打楽器のことなどを書いてます

アジス・ショハキモフ指揮 東京交響楽団 川崎定期第87回を聴く

東響さんは先生が叩いていることもあって、よく目にするし聴きに行く。もはや日常生活の一部として聴きに行っているので、最近では好きな曲の時とかに行くようになった。なんとも贅沢な生活な感じがする。

 (2022/09/18)
アジス・ショハキモフ 東京交響楽団
ミューザ川崎シンフォニーホール

「管弦楽のための映像」より"イベリア"/ドビュッシー
トランペット協奏曲/トマジ
交響曲第5番/プロコフィエフ

tokyosymphony.jp

ショハキモフ氏は名前がすごいだけではなく、若くしてストラスブールフィルの音楽監督を務めるなど、目下売り出し中の指揮者といったところ。そう思って見たからかもしれないが、自信に溢れた表現だったように感じた。

ドビュッシーは曲の持つ柔らかい表情と、イベリアの印象を与えるリズム感が上手く両立した演奏。トマジは残念ながら曲がすっと入ってこなかった。曲は分からなかったものの、ソリストのヘルセットは相当な演奏家だったと思う。なんというか、木管楽器のように音色を変化させる。月並みな言い方だが表現力が高い演奏家だ。

で、好きな曲というのは後半のプロコフィエフ第5番だ。この作品は一度演奏したことがあって知ったのだが、打楽器が大活躍する、かつ、非常に有効に用いられている楽しい曲だ。戦争の最中に書かれた作品なのだそうだが、ショスタコーヴィチが描写的な作曲をしたことに対し、こちらは勝利を普遍的に昇華させた、表現的な作曲という印象がある。

演奏は流れるように進み、よくある演奏より比較的速めのテンポであった。あまりこういった演奏をされることはなくて、重厚感を出そうとする演奏の多い作品だが、今回の演奏は正解であったように思う。よくない場合の演奏って例外なく遅くなる。速すぎたとして、どこかで変な間を取って遅く感じさせる。その点で終始退屈させないショハキモフの演奏はひとつの正解なんだろう。どこかで爆発するところがあってもよかった、みたいな評も目にした。確かにそういう面もあるが、聴いた感じマイナスに作用しそうなので今回はそうしなくてよかったんだろう。

台風が接近しているのでダッシュで帰るマエストロの姿を見て、少し親近感が沸いた。この演奏会はしばらく視聴できるみたいです。よかったらどうぞ。

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