ぽんぽこ日記

演奏会とか打楽器のことなどを書いてます

市民オペラ2公演に参加 2023年8月

今年はオペラ2公演に参加させてもらった。賛助です。相模原シティオペラの「こうもり」、新宿区民オペラの「マクベス」おかげさまでこの夏は2公演で6日間、オーケストラピットで楽しい日々を過ごした。

所属しているオーケストラでは昨年バレエ公演に参加して、貴重な経験をさせてもらいましたが、これは5年に1回のBIGプロジェクトで次はしばらく先。

www.komaecityshimizu.com

これには次回があれば是非参加したいのだけれど、5年に1回となると次回はおそらく感覚が残っていないだろうなと思う。その上オーケストラピットでの演奏は経験が少なく、舞台作品もよく知らないので、今年はたくさんピットで演奏できたことがまずありがたかった。

相模原シティオペラ「こうもり」8月5日~6日

まずは「こうもり」。シンバルとスプローネ(拍車)、あと一部のSEを担当。この公演はオーケストラと舞台の組織が別になっていて、オーケストラが演奏を引き受けた形だ。練習はオーケストラとの縁が深い練馬区の小学校で行われた。学校だから楽器もある訳だけど、子供たちが初めて触るような楽器であるから状態には難しい面があった。それにしてはちゃんと使えたな、という印象だが、限界はある。そして、音楽室にオーケストラを入れるのはかなり狭く、大丈夫か、と思ったりもしたが、本番のピットも相当狭かったのでかえって良かった。

ティンパニ4台入らない

こうなることはメンバーも承知していて、人数的にちょうど良い小編成にしていた。バイオリンで3プルトくらい、特殊楽器は代用するなど。ティンパニは相当厳しいが2台で全部演奏した。やはりホールの条件は知っていた方が、楽器入らなくてどうのこうのが無くていい。小学校の楽器で練習っていうのも、小さい音で演奏する必要があったから問題なかった。

本番は金曜に小屋入りしてA組リハ、土曜にB組リハとA組本番、日曜にB組本番っていう2公演で3日間ホールに詰めるかたちだ。都内からだと少し距離があるので土曜日だけは相模原のホテルに泊まった。予約サイトのポイントが貯まっていて、往復の交通費やら食事代やらとほぼ同じ金額で一泊できた。相模原市内ではレンタルサイクルが使えて、ホールの目の前に返却スポットがあり、ラクで時間が余るくらい。ちょっとした旅行のような感覚でのんびり3日間を過ごした。酒もかなり飲んだ。

「こうもり」は日本語で歌われた。以前一回抜粋で演奏したことがあって、その時も日本語だったのだけど、喜歌劇で台詞が多いっていうのが理由な気がする。笑う場面では字幕だとすんなり入ってこないから、舞台を見ながら笑い声を出すっていう少しのハードルを越えられなくなってしまう。舞台では泣かせるより笑わせる方が大変なのだ。

オーケストラの演奏面では、本番はちょっとの間違いもあったが熱量あるアマチュアという感じの良い雰囲気。後で聞いたところによると、オペラの経験が豊富なメンバーが多く「こうもり」はけっこうな回数を演奏してきているらしい。大崩れしないのも納得だ。規定演技をしっかりこなしてくれる団体で好感が持てた。

舞台は大道具を入れたけっこう本格的なセットで、演出と台詞も凝っていて楽しい公演になった、のだろうと思う(ピットにいたから見えてない)。少し勿体なく思ったのは、土日とも客入りが控えめだったこと。あの規模の公演にしては客席が寂しく見えた。招待券を出すべきか、チケットノルマを課すのか、方法には色々議論のある部分ではあるけれど、できれば多くの方を呼べるともっと良かった。

ピットから見たカーテンコール

気になる次の公演だがオーケストラとして次の公演に参加する予定が無いようで、どこか別のオケがピットに入るようだ。よって余程の縁がない限り参加するのは難しそうである。

 

新宿区民オペラ「マクベス」8月26日~27日

中2週空いて今度は新宿でヴェルディ「マクベス」。担当楽器はSEのスネアと鐘、バンダのスネア、ピットのスネア。出番は少なかったもののやることが多かった。

時系列で書くと次のような動きになる。

  • 1幕1場。SEのスネア。上手袖で見えないギリギリまで舞台に接近、ロングロール2発。スコアには書いてあるがパート譜が無い。
  • 1幕2場。バンダのスネア。上手袖のバンダ位置にスネアを移動させ、バックバンドに加わる。スコアに書いて無くてパート譜がある。
  • 1幕2場。SEの鐘。鐘は手で保持するため、椅子に乗らないと床に着いてしまう。スネアでロングロールをした位置に椅子を運び、鐘を持って椅子の上に乗り思い切り強打。スコアに文字で書いてあるが音符が無く、パート譜は無い。
  • 1幕終わりの休憩。上手袖にスネアがあると歌手の導線を塞いでしまう。ピットにスネアを入れておく。
  • 2幕終わりの休憩。休憩は最後になるためここでピットに入っておく。
  • 4幕。ピットのスネア。1曲だけあり、スコアにあってパート譜がある。拍手の後で入りが少し難しい。

出番の度に移動が発生していることを強調したい。出番ごとに求められる音響効果も異なるから、サウンドチェックを2回行った。スケジュールは「こうもり」と同じく金曜に小屋入りしてA組リハ、土曜にB組リハとA組本番、日曜にB組本番の3日間。上手袖とピットは階が異なっているから計4往復したことになる。妙に疲れたから階段がきつかったのだろう。

オーケストラピットは比較的広く快適で、楽器が全部入るし、それなりの編成が可能だ。ピットって何の基準で作られているのか気になる。

ティンパニ4台入れて余裕

この公演はオペラ団体がオーケストラも招集する区の団体で、練習場所と楽器は予約が取れる限り基本的にホールの楽器が使用できた。私の持ち分は鐘とスネアで鐘は主催側が持ってきて(だから手持ちになった)、スネアは借りられたのだけれど、ホールのスネアがどうも気に入らない…というか、気に入ったし状態も良かったものの、端的に音色が明るかったのだ。

いや、「マクベス」、明るい音だと合わないな、と思って結局自分のスネアを持ってくることにした。

D-515MR

ソナーの名機、フォニックシリーズのD-515MR。化粧板はマホガニー。響き線はBlack Swampの青。廃番になったが日本向けに再販された個体で、ワッシャーが新タイプの樹脂だったが元の鉄のワッシャーに換装した。ヘッドは新品。スタンダードなREMOのコーテッド。

そんな愛機はコロナ禍で全く出番が無く、入ったオーケストラにも似寄品があって約2年ぶりの登場だ。だがケース含めてとにかく重たい。車で来ている方に運んでもらって、スタンドもお借りしてしまった。自前楽器くらい自分で運用できるようにしておきたいものだ。

ここのオーケストラはオペラ団体が招集したメンバーなのだけど、なんと「こうもり」で会ったメンバーが10人くらい参加していた。どうやらオペラの演奏界隈というのがあって、色んなところに出没している方々らしい。よく体力持つな。他にも、入ってる地域のオケから2人、以前いたオケから1人、なんだかんだ知り合いが沢山いて安心感があった。

そもそも以前いたオケの知り合いが参加していて、2年前に招待券をいただいて観に来たのだった。その時叩いてた方が地元のオケにエキストラで偶然来てくれて、観に行きましたみたいな話をしたのが今回のきっかけ。ヴェルディの作品はその時初めて観て、演奏してみたいっす、と正直に言ったことを覚えている。

だから知り合いが多いのも納得できる。元から知り合いが集まっているところだった。そこに自分が参加させてもらったのだ。

リハーサルのカーテンコール

オーケストラの演奏はというと、観に来た時から思っていたけど相当上手だ。ヴェルディのオペラは長大で技術を要求される場面も多いが、迫力ある表現でうまくいっていた。もっともここは団体として存在している訳でなくて公演の度に人を集めてるようだが、技術の高いメンバーが揃っている。技術だけでなく意識も高く、なによりオペラが好きな人たちで演奏していて楽しい。中には30年近く続けている方もいらっしゃるようだ。気持ちは分かる。

加えてソリストの技量が高く、リハーサルでオーケストラ練習から特にバランスを変える必要が無かった。音量が出るオケで音量を出して良い状況だから、変化も付けやすい。結果として弱音の部分も表現しやすくなっていた。

舞台上は大道具が少なく、ひな壇のようなものと幕、照明と小道具で見せるシンプルな構成だった。「マクベス」という作品はあまり頻繁に場所を移動することはなくて、一場面をしっかり見せていく構成になっているから内容にはハマっていたと思ったが、作品次第では工夫の余地が大いにあるだろう。集客に関しては土曜日が少し弱かったが日曜日はかなり入った。私も3人呼べてありがたかった。

せっかくだから本格的に出番があるといいな、と思ったので次こそは!というところだけど、どうやら本拠地のホールがこれから2年間の改装に入るそうで、フルオケは難しくなってくるそうだ。オペラ団体としてはガラ・コンサートを続けて待ってもいい訳で、どうもすぐ参加できるか分からない状況になりそう。

 

2公演を終えてみて、ずっと楽しく過ごして少し燃え尽き気味なくらいになったんだけど、どちらの団体も来年は無さそうな感じである。ただ、最大の収穫として、知り合いが沢山できた。ここからまたどこかに呼んでもらえると嬉しい。再来週にバンダ隊の打ち上げがある。とにかく元気な人たちだ。

これからの本番

いま決まっている演奏会は今年あと2回。

  • 地元オケの定期。マーラー交響曲第9番。シンバルと銅鑼。人見記念講堂。
  • エキストラ。ベートーヴェン交響曲第2番、モーツァルト交響曲第35番「ハフナー」、ストラヴィンスキーの「協奏的舞曲」。本皮ティンパニで挑戦。トッパンホール。

トッパンホールは2年連続で行けてうれしい。少しさらう時間があるから、しっかり作りこんでいこうと思う。まだ本番増えてもいいな。