ぽんぽこ日記

演奏会とか打楽器のことなどを書いてます

初めてのバレエ本番 2022年10月

バレエの舞台!

今月は初めてバレエのピットに入った。10/9の本番だったんだけど、インプットが多くて…ちょっと間が空いての振り返りになる。

5年越しに行われる、地域のクラシックバレエ連盟とオーケストラが共催する舞台。バレエ側はソリスト、振付、演出にプロを配して、選抜された地域の子供たちが踊る、といった本格的なステージだ。

今回はミンクスの「ドン・キホーテ」を上演することに。初めてだから三大バレエとかやってみたかったんだけど、過去やり尽くしているらしい。これもいい機会だろう。バレエでは有名なレパートリーなんだそうだ。

6月くらいに始動

おおまかな演出が決まり、演奏する曲が絞られて(ほぼ全曲だけど)譜面が作成された。後で知ったことだが、バレエというのは演出によって曲が差し替わったり、一部を省略したりすることが一般的で、プロダクションごとに譜面は作るらしい。

アマオケなのに専用の譜面で演奏することになって、地域オケ版が生まれてしまった。ここにしかない楽譜であるので、パート割は私が買って出た。興味があったし、自分はやることが分かってた方が安心するタイプだ。全ての楽器の出番を確認することになったのだが、ティンパニ以外の打楽器は譜面がまとまっていて助かった。

だいたい5人でいけるだろう、ということでエキストラは1名に決定。一部、少しだけ出てくるシロフォンはエレクトーンに引き渡す形で演奏する方向性が決まった。

やたら暑かった8月

間が空いて、8月に本格的な練習が開始した。7月はアンサンブルコンサートをやっていてフル稼働していた。

www.komaecityshimizu.com

しばらくは間の空く合奏が続き9月から毎週ということで、テンポや止まる所の確認などを指導いただく。バレエでは記譜上のフェルマータの前で止まり、ダンサーのアクションがあってフェルマータで止まる、譜面と異なる演奏をする形が多く、慣れるまでに時間がかかった。

こういう変化は指揮を見ていれば大丈夫なのだが、練習をしたことの無い箇所ではどうしても譜面を見てしまうというのはあるだろう。曲が長く、練習一回で詰め始めると通らないくらいの分量があり、どうしても練習に漏れが出てしまう。幸い自分は練習に全部行けたので、時間をかけて慣れることができた。

9月からはピット配置で

9月に入ってからは実際の配置に近い並べ方で練習をした。オーケストラピットは「奥行きが狭く、左右に広い」という特徴がある。舞台上での演奏から、下記の変更を行った。

  • 弦楽器は削減して8-6-5-4-2の8型に
  • 金管打楽器は上手側に集約
  • 木管楽器、ハープ、エレクトーンは下手側に集約

割と一般的な配置だと思う。

細かい点ではホルンを一列にしてコントラバスを下手側(いつもと逆)に動かしたり、ホルン以外の金管は1列を切って2列に分けてTpとTbのTOP奏者の位置が逆になったり、打楽器ではティンパニを後ろ(だいたい前が多い)に置くことなど、色々と工夫をした。

結果的に打楽器の席からは木管楽器が最も遠いセクションとなり、コンサートの配置とは大きく異なる状況が生まれた。木管楽器が聴こえないということはないのだが、聴いて合わせようとすると遅れたり、必要な音量が出せないといったことが起こる。見えないし。これに関しては中央にいる指揮者の判断を信じる外ない。

こういったことがあるので配置を試せたのは非常に良かったと思う。練習場が決まっているため、一回測れば同じように並べれば済む状況も大きかった。

何度か下振りの指揮者で練習をすることがあった。必要な練習回数を満たすためにはそうする必要があったと思う。その点で感謝はしているものの、内容的には物足りない部分があった。

まず棒が演奏しづらい。これは若干改善されていったが、指揮者が勉強になるようなレベルのオーケストラではないので、ここでそう思われるようでは厳しいだろう。オケも何度か入り損ねたりしていた。さらに、指摘が曖昧な部分があった。例えば「こういう箇所は遅れがちなので注意」のようなことを言われても、今この場では遅れたのか、問題なかったのかが分からない。なんか合奏が止まったものの改善の実感は無かった。一方で明らかに間違っていても先に進める。時間を使ってしまったからだ。また「下振りの自分の色を付けてしまうのは云々」と言っていたが、オーケストラは明らかに間違っているし通っていないので、大きなこと言ってるなという印象を持ってしまう。バレエの伴奏であるわけで、そこまでの変化は付けられないし、実際に下振りの色が出てしまったところで演奏が成立していれば何の問題もないだろう。要は口が先に回るタイプで、自分はあまり愉快に過ごすことができなかった。

すごい文句を言っているが、合奏としては必要だったし、口論をして練習を無くしてしまうようなことはできなかっただろう。大きな舞台を成り立たせるためにこうやって我慢した要素もあって、敢えて書いておこうと思う。

そして10月、本番

本番はちょっともったいない気もするが、日曜日に1回公演となる。金曜日に最後のオーケストラ合わせがあり、楽器を積み込んでしまって土曜日G.P→日曜日本番。

舞台稽古があるためオーケストラが音を出せるのは土曜日の18時以降だ。私はステージマネージャー氏と共に午前中に楽器を搬入しピットの設営を行った。

並べてから一回帰宅した

意外にやることが多くて、楽器を入れただけでは済まない。ピットに入れる物は全て入れた上で、譜面灯を配線して実際に点けるところまでやった。

写真からは全く分からないが、本来はティンパニの下の床を外して階段を開通することができる。配置の関係で床を外すことができなくなったため、上手からはピットに入れなくなった。これも周知する。なんやかや色々終わって13時くらい。私は家が近いので帰って17時まで休むことにした。

並行して舞台を設営

で、18時からG.P.だ。ここから2日間で3回バレエ全幕を通すことになる。それを見越して家に帰ってまで休んだ。3回が3回ともダンサーは衣装を着て本番とほぼ変わらない内容が行われる。ちょっとした体力勝負になるだろう。

G.P.ではオーケストラに少しミスがあった。たまに入れない場面が合ったり、どうにもボーっとしていたように思える。団体として緊張への対処は良くて、というか緊張するような状況が無くて、そこは良いところなんだけど、気分の持って行き方が足りなかったか。こういうのは指摘しても効果を生まないだろう。親しみやすい団体の難しい一面を見た気分だ。

当日、12:30よりステリハ開始。色々準備が終わっているから余裕があるな、と思ってホールに向かったらダンサーは朝から稽古をしていた。すごい体力。

よくある「G.P.」と「ステリハ」の違いみたいな話題だけど、私自身の理解としては

  • G.P.→演目が順番通りに全て行われる。会場は違うこともある。
  • ステリハ→実際の会場で行われる。全部行われない場合もある。

という違いだと思っている。特に、オペラではステリハで歌手は体力を温存するためにあまり歌わなかったりするから大きく違いがある。オーケストラ側としてはステリハで音量やタイミングの調整をしたいところ。G.P.までに規定演技、演奏側としては譜面通り演奏できていることが大事になってくる。この辺は地域によって言葉の意味するところが違うようだけど、各々の機会を活かすことが大事なんだと思う。

そういう面では今回のバレエは各々の機会という感じではなく、G.P.が2回とも舞台で行われたという印象。これは舞台美術だったり(すごかった)進行度が違ったりすることでこうなっているんだろう。プロではリハーサルが少ないのでかなり変化しそうな進め方だが、アマチュアオーケストラではたくさん合奏をしているので「いつも通り」があり、特に影響はなかった。ダンサー的には「オーケストラで3回も踊れて最高」と言ってくださっていたので、やはり体力が違う。

ステリハでは特にミスなく進んだ。そのあたり、さすがだといつも思う。終わってからあまり時間なく、着替えたらすぐにピットへ移動。本番へ。

本番、聞いていたことだが、客席の9割が埋まって1500人近くの集客があって、相当盛り上がる舞台になった。私の出た演奏の場では最も多い集客だ。「割れんばかりの拍手」という言葉があって、なんだろうと思っていたけど、集客が一定を越えると拍手の音は実際に割れる。なんてことを思っていた。

舞台が始まると、ダンサーが入ってくるたびに拍手、拍手。他のオーケストラの舞台では起こらないことだ。ピット内で聴こえなくなるパートもあるが、そういうために練習してきたので通常通り進行する。問題ない。最後に祝砲が発射され、大盛り上がりのままバレエ初本番は幕を閉じた。

本番後、これから

バレエ公演は5年ごとの節目にあるそうで、次あるとしたら5年後。その時に参加できているとうれしい。選ぶことは難しいけど、私は三大バレエを経験してみたいと思っている。

これからのこのオーケストラの活動は

  • 区民センター祭り。アンサンブル。打楽器は出ない
  • 区の音楽コンクール入賞者コンサート。ピアノ協奏曲抜粋。私が叩く
  • 合唱との合同演奏会。ドイツレクイエム。別の方が叩く
  • クリスマスコンサート。野外。金管アンサンブル?あるなら出るだろう

と4本番を並行して準備している。相変わらず忙しい団体だ。次の定期は来年の7月だから、年明け頃から準備することになるだろう。

私自身としてはピアノ協奏曲の準備があるものの、そんなに忙しい出番ではなくて、しばらく自分の練習に取り組むことができそう。大きなオーケストラはしばらく機会がないから、地道に準備してまた楽しめたらと思っている。