ベルリンフィルの2020/21年シーズンが開幕した。
日本時間本日20時から、ペトレンコ指揮によるベルリン・フィルの2020/21年シーズン開幕演奏会を時間差再配信します。演目は、シェーンベルク《浄夜》とブラームスの交響曲第4番。ベルリン・フィルが聴衆を入れた演奏会を行うのは約半年ぶりとなります。ぜひご覧ください! https://t.co/cUxD6fioSJ
— ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (@BerlinPhilJapan) 2020年8月29日
昨シーズンは新型感染症の流行が思いのほか長引いたことで、オーケストラ界でも多くの演奏会が中止になってしまった。
それでも、こうやってデジタル・コンサートホール*1で演奏が聴けるのはありがたいことだ。新しいシーズンの開幕が復活の狼煙になりますように。
2020/21年シーズン開幕演奏会(2020/8/29)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
キリル・ペトレンコ
アルノルト・シェーンベルク
《浄夜》(弦楽合奏のための1943年版)
ヨハネス・ブラームス
交響曲第4番ホ短調
指揮は昨シーズンから首席指揮者を務めるキリル・ペトレンコ。音楽における「完璧超人」のイメージを持つこの指揮者だが、意外にもブラームスの演奏はまだアーカイブに入っていない。
一方シェーンベルクの方はと言うと、既にヴァイオリン協奏曲と《浄夜》に取り組んでいる。さらにベルクの《ルル》組曲やフランツ・シュミットの交響曲など、19世紀末ウィーンの作品はデジタル・コンサートホールでたくさん聴くことができる。聴きやすい音楽ばかりではないけど、好きなんだろうか。
前任のサイモン・ラトルが得意としたマーラーの第6番を、就任一年めに演奏したのには驚いたなあ。本人はそういうことは全く関係ないのかもしれないけど。
今回の組み合わせも、シェーンベルクがブラームスに影響を受けたことは有名だから(編曲までしている)純粋に音楽的なつながりからだろう。
さて、演奏会。まずは弦楽合奏版の《浄夜》、弦はおおよそ半分で、プルトの裏がいない状態。それでも「やっぱりベルリンフィルはこれよね」というサウンドで、表現の力強さが凄まじい。間隔が広いことで全員フルパワーで弾いてることがよく分かる。
繊細な場面はとことん繊細で、曲の持ってる激しさとともに優しい部分も美しく表現されていた。
曲の終わり方が特徴的に感じたんだけど、ほんと消えゆくようなやり方で、私は気に入ったかな。
ライブの日本再配信だったのだが、休憩で指揮者へのインタビューが流された。
「ブラームスのシンフォニーでシーズンを始められることはとても重要」みたいなことを言ってた(独語→英語字幕で私はよく分かりませんでした)。たぶん。
で、ブラームス4番。管打楽器は席の間隔を左右いっぱいまで広げ、前後は入れ子になるように配置。
どちらかというと軽やかな始まり方というか、旋律の処理だなあと思ったんだけど、その分振幅の激しい演奏で、3楽章なんか超元気。ひとつずつ丁寧に組み立てられて勢いも持ったままという、いわゆる理想みたいな、凄い演奏だった。
ティンパニはいつもダイナミックな演奏で魅せてくれるヴィーラント・ヴェルツェル。
音とめるのに気をつかってて(手順がすごい)丁寧な印象を受けた。
熱狂的にコーダが演奏されて終演。
間隔を空けた客席では、1階みんなスタンディングオベーションで、アナウンスが入って強制終了してた。客席を開けるのは半年ぶりとのことで、そういう喜びもあったのかもしれないけど、それ抜きにしても「名演」だったのは間違いないと思う。
アーカイブ入りしたらもう一回聴きたい。今シーズンが楽しみになった、よい演奏会だった。
<2020/09/04追記>
アーカイブ入り!はやい!
*1:一部有料のコンテンツが含まれます。視聴方法については公式HPをご確認ください。http://www.digitalconcerthall.com