D.ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガ

ちょっと前にYouTubeで見つけて、なんか気に入ったから曲名は覚えてて、Amazonで新しいマウスを買う時に一緒にCDを買った。それから妙に気に入って、最近こればっかり聴いている。

 3時間くらいある超大作だし、ショスタコーヴィチだし、いかにも特異な曲っぽいけど、いや実際そういうところもあるんだけど、聴いているとなんだか気分が妙に落ち着く。頭が冴えるような。残暑が厳しいからでしょうか。なんだろう。

20世紀の音楽家として、そして卓越したピアニストとして、ショスタコーヴィチにもバッハに傾倒した時期があったらしい。言われてみればフーガとかオスティナートといったバロック的な技法も駆使しているけど、まあ率直なところなんだか意外だ。
曲はもちろん、バッハの『平均律クラヴィーア曲集』に多大なる影響を受けて書かれたもの。『平均律』は調性が半音ずつ上がっていくのに対し、ショスタコーヴィチのこの作品は「シャープが増えていき、フラットに変わり減っていく」。
並べるとこうなる。

第1番 ハ長調
第2番 イ短調
第3番 ト長調  #
第4番 ホ短調  #
第5番 ニ長調  ##
第6番 ロ短調  ##
第7番 イ長調  ###
第8番 嬰ヘ短調 ###
第9番 ホ長調  ####
第10番 嬰ハ短調  ####
第11番 ロ長調   #####
第12番 嬰ト短調  #####
第13番 嬰ヘ長調  ######
第14番 変ホ短調  ♭♭♭♭♭♭
第15番 変ニ長調  ♭♭♭♭♭
第16番 変ロ短調  ♭♭♭♭♭
第17番 変イ長調  ♭♭♭♭
第18番 ヘ短調   ♭♭♭♭
第19番 変ホ長調  ♭♭♭
第20番 ハ短調   ♭♭♭
第21番 変ロ長調  ♭♭
第22番 ト短調   ♭♭
第23番 ヘ長調   ♭
第24番 ニ短調   ♭

(位置を合わせるためシャープではなく井桁で表記)

聴いているとこのように、マニアックな作り方だとはまったく感じない。あくまで純真で、非常に質の高い音楽で書かれた作品集だと感じる。厳格さ、巨大さからロシア音楽を代表するピアノ作品と言われてるらしいのも、なんか納得する。
いったいあの、けばけばしくて皮肉めいた騒音のかたまりみたいな交響曲とかはなんだったんだろう...。超正統派のピアノ独奏曲じゃねえか...。しかもたまに民族風を入れて飽きない構造にまでしてある。魔法使いか?さすがハリー・ポッターに似てるだけあるな。
しかも他の楽器やってると「あ、こういう響き交響曲でたまにある」「これは組曲っぽい」とか、楽しめる部分が多くて3時間全然聴ける。
最後なんか思いっきり交響曲だと思うよ。アレだよ。ティンパニと大太鼓で終わるいつものアレだよ。

 

でも、なんだろう、こんな風に楽しい曲なんだけど、どうしてもテンションが上がるという風にはならないんだよね。通底してなんだか冷たいものがある。

それがなんだかはよく分からない。演奏なのか、曲なのか。この作曲者のことだから、また不思議な呪文でも曲に仕込んであるのかもしれない。
ただ、繰り返し聴くには、それがちょうどよい感じではある。 

ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガ

ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガ